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【イベント☆レポート】AMED理事長賞で医療分野における期待の若手研究者を選出!~受賞者座談会~

2017年度より、「健康・医療戦略」の下に実施されている「日本医療研究開発大賞」(事務局:内閣府健康・医療戦略推進事務局)は、医療分野の研究開発の推進に多大な貢献をした事例に関して、功績を称えることにより、国民の関心と理解を深めるとともに、研究者等のインセンティブを高めることを目的としています。


総理出席のもと、首相官邸において行われた表彰式

首相官邸において行われた表彰式の様子

同賞は、「内閣総理大臣賞」「健康・医療戦略担当大臣賞」「文部科学大臣賞」「厚生労働大臣賞」「経済産業大臣賞」、今回の第6回より新設された「スタートアップ賞/スタートアップ奨励賞」のほか、「日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞」があり、AMED理事長賞は、AMEDが支援した研究のうち若手研究者を奨励する観点から、顕著な功績があったと認められる事例を表彰しています。

2023年8月に、第6回日本医療研究開発大賞受賞者各賞の受賞者が発表され、AMED理事長賞は以下の5名の方が選ばれました。

「第6回日本医療研究開発大賞」表彰式での
AMED三島理事長(右)とAMED理事長賞受賞者のみなさん

<<AMED理事長賞受賞者のみなさん>>

■江島 広貴(えじま ひろたか)東京大学 大学院工学系研究科マテリアル工学専攻 准教授)
「水生生物の接着機構にヒントを得た生体組織接着剤の研究開発」
■塩飽 裕紀(しわく ひろき)東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 テニュアトラック准教授)「統合失調症の原因解明と新しい治療法の創出につながる、シナプス分子に対する新規自己抗体の発見」
■髙木 聡(たかぎ さとし)がん研究会 がん化学療法センター 基礎研究部 研究員)
「脂質メディエータ受容体を標的とした骨肉腫の増殖・転移を阻害する新治療法の開発」
■武内 俊樹(たけのうち としき)慶應義塾大学 医学部 小児科学教室 専任講師)
「「社会共創」の観点を重視した研究開発とゲノム解析による新生児・小児医療への貢献」
■星野 歩子(ほしの あゆこ)東京大学 先端科学技術研究センター 細胞連関医科学分野 教授)「エクソソーム含有タンパク質をパラメーターとした健康長寿とアルツハイマー病マーカーの解明」

AMED三島理事長と受賞者の皆さんで
お互いの研究や今後について座談会を実施

和やかな雰囲気で行われた座談会の様子

座談会の様子はAMEDチャンネルの動画で公開中です。↓こちらもご覧ください!
第6回日本医療研究開発大賞「AMED理事長賞」受賞者と三島理事長との座談会」https://www.youtube.com/watch?v=xMazW7rnqZI

首相官邸での表彰式後、受賞者の皆さんの研究テーマや今後について意見交換を行うべく、AMED三島理事長とAMED理事長賞受賞者の皆さんがAMEDにて座談会を行いました。冒頭、三島理事長から受賞者の皆さんへお祝いの言葉を述べるとともに、「AMED理事長の職務を通じて医療研究開発の大変さがわかってきたところですが、改めて皆さんの研究に関してお話を伺えればと思います」と挨拶を行いました。

冒頭挨拶を行うAMED三島理事長

受賞研究テーマの研究開発に至るきっかけやエピソード

まず、水中接着技術を開発し医療用への展開を進める江島先生は、工学分野のご専門として、水中で接着可能な人工の高分子合成技術を開発。外科医をされている高校のクラスメイトとの会話の中で、この技術は手術中の臓器の接着、局所の止血などに使えるのではと聞いて、AMED事業(官民による若手研究者発掘支援事業)に応募したとのこと、今も外科医の先生と共同研究で手術用接着剤の開発を行っているそうです。

医療分野の知識はAMED事業で学んだと話す工学研究者の江島先生

精神科医でかつ脳の研究もしている塩飽先生は、難治な精神疾患をなおすことと、診断に使えるバイオマーカーを見つけるという2点をポイントとして、AMED事業(脳とこころの研究推進プログラム)で研究を進めました。特に統合失調症について、現在ある薬はドーパミンを調整することで改善を目指すものの、それだけでは改善しない人もいる中で、自己免疫と統合失調症の関係について着目し、自己抗体が病態を引き起こしていることを発見しました。統合失調症以外の精神疾患など、疾患横断的な治療への展開が期待されています。

難治な精神疾患の治療に向けた思いを語る塩飽先生

がん研究を行っている髙木先生は、がんの中でも骨肉腫を対象に研究をしています。骨肉腫は肺に転移しやすいことから全身を対象とした薬物療法が必要になりますが、希少がんということで、これまでは骨肉腫が発生するメカニズムも解明されず、1970年代以降新たな薬の開発もありませんでした。髙木先生はAMED事業(次世代がん医療創生研究事業)で、骨肉腫が他器官に転移する仕組みの解明につなげ、現在は製薬企業などと連携してこれらを標的とした薬剤開発を行うなど、実用化に向けた取組も進んでいます。

希少がんの治療に新たな道筋を示す髙木先生

日々小さなお子さんを診察する小児科医の武内先生は、原因がわからない多くの患者さんを前に、なんとか診断がつくようにできないか、特に生まれつきの病気は少しでも早く原因がわかればと、AMED事業(成育疾患克服等総合研究事業難治性疾患実用化研究事業)で、ゲノム解析とデータシェアリングにより、新生児の早期診断の仕組みづくりを行いました。研究はコロナ禍で行われ、日本全国100以上の病院と連携しながら、何も言うことができない赤ちゃんでも、医師がこれまで推測していた疾患の半分くらいは明確に診断がつくようにできました。たとえすぐに治療につなげられなくても診断がつくことで、先の見通しを作ることができたり、計画ができることは、ご家族の希望にもつながることから、今後の展開が期待されています、とのお話をいただきました。

少しでも小さなお子さんやご家族の力になりたいと語る武内先生

細胞の中のいらないゴミをすてる物質である「エクソソーム」の研究者である星野先生は、アルツハイマー病の患者さんにおけるエクソソームの組成の特徴を発見したことで、アルツハイマーの早期診断への応用が期待されています。この研究はAMEDの医療分野国際科学技術共同研究開発推進事業(Interstellar Initiative)で行われましたが、この事業に採択されたことで、それまで面識のなかったアメリカの大学の異分野研究者らと共同研究を行うことで、新たな成果に結びついたと話をされました。

AMED事業で体験した海外の研究者との思いがけない研究エピソードを話す星野先生

お互いの研究テーマや、異分野、国際共同研究について
それぞれの受賞研究の話をした後、お互いの研究テーマについてのやり取りが盛り上がり、塩飽先生から星野先生にはアルツハイマー病でのエクソソームのさらに詳細な質問や、武内先生から江島先生には、皮膚の弱い赤ちゃんに使えないかという発想から、接着剤のくっつきやすさに加え剥がれやすさについての質問がでるなど、お互いの研究視点を通じたやり取りに、大きくうなずいたり笑いもあったりと、皆さん刺激になったようでした。

それぞれの研究に興味津々で楽しく話が盛り上がる受賞者の皆さんと三島理事長の座談会の様子

また、三島理事長から海外での研究経験の重要さについて話がある中で、髙木先生からご自身の海外経験を通じて、海外の研究者だけではなく現地で知り合った日本人の研究者など、自分の専門以外の多くの研究者とも横のつながりができて、日本に戻ってからも活発に連絡を取り合っているので、ぜひ、そうしたメンバーと新たなグラントを取りに行きたいと意気込みを語りました。

AMEDも共に!今後に向けての抱負

三島理事長は、最後に改めて受賞者の皆さんの今後の抱負を伺い、AMEDとしても今後、引き続き若手研究者への支援を行うことで、AMED事業で生まれた研究成果が、患者さんや患者さんのご家族に一刻も早く届けられるよう、また、未来に向けて、次世代を担う人たちに届くよう、三島理事長も思いを新たに強くしたということで、これからもぜひ一緒に進もうと、力強く語りました。

AMED三島理事長と受賞者皆さんとの座談会の様子は、AMEDチャンネルの動画でもご覧いただけますここで紹介できなかったお話、エピソードももりだくさん! ぜひ動画もご覧ください。

改めてAMED理事長賞受賞の皆さん、おめでとうございました!

今後に向けた意気込みをポーズでいただきました! ありがとうございました☆

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