【イベント☆レポート】医療分野のリスクコミュニケーションなど明日につながる議論で盛り上がった「AMED社会共創EXPO」
AMED(エーメド)は医療研究開発の推進において、社会の真のニーズを満たす成果を一刻も早く実用化するために、社会との対話や協働を促進しています。
その一環として、医療分野の研究開発を、研究者だけではなく、患者さんや患者さんのご家族はじめ社会の皆さんと共に創るにはどうしたらいいか――2023年2月18日、AMEDは「AMED社会共創EXPO」を開催しました。
さまざまな立場で医療に関わる方々が集まった実行会議においてイベント内容を議論し、今回、「社会と共に創る明日の医療」をテーマとして3つの企画を実施しました。
他にも参加型デジタルアート「しあわせクラウド ~Well-beingを可視化する~」など、現代におけるさまざまなリスクコミュニケーション、医療の未来における“ものづくり”をどう発想するか、コロナ禍で気づいた小さなアイデアなど、登壇者や参加者と対話を展開しながら、医療分野の研究開発を“社会と共に創る”と“社会を共に創る”につなげることを目指しました。
オープンダイアローグ1では、「リスクコミュニケーション※」をテーマに、医療を中心とした様々な情報との付き合い方について、パネリスト3名からのプレゼンの後、会場の参加者も交えた対話型の議論がなされました。
※ リスクとより適切に付き合うために、リスクについて関係者(消費
者、事業者、研究者、行政など)が情報や意見を交換すること。
コロナ禍でさまざまな医療情報が飛び交う中、未知の病に関する医療情報とどう接すればいいか、心理学の観点から平井さんが2段階あるリスクへの対応について「まず、リスクのある・なしは素早く判断しなくてはいけません。これが第1段階です。次にそのリスクがどれだけ高いか、リスクの大きさをどう理解し対応するかを考えるのが第2段階。今はSNS等で、本来じっくり考えるべき第2段階においても情報を拙速に判断しがちな印象があります」と語りました。
また、会場の参加者で、ご家族を病気で亡くされた方からは「リスクをどう考えるか、お医者さんの話が専門的すぎて、質問していいのかさえわからなかった。本当はああすればよかったなど後悔が湧き、通訳する人がいてほしかった」という声もありました。これに対して岩﨑さんは、医師も、治療方針を決める際に一人で決めてしまうのではなく、患者さんやご家族と一緒に考えるという姿勢を持つことが大事ではないかと対話しました。
さらに、モデレーターの武藤さん、小村さんからは、忙しい医療現場においても患者さんと向き合う時間を作ることの大切さなどが語られ、医療現場の働き方改革が進む中で、AIの導入を含め、医療現場がいかに患者さんと向き合っていくのか、今後、ますます重要な課題となることが浮き彫りとなりました。
オープンダイアローグ2は、オタマトーンなどさまざまなオリジナル楽器を使ったパフォーマンスで人気の株式会社明和電機の土佐さんのユニークな演奏からスタート。患者さんの生活や医療現場において、QOLを高めるためにテクノロジーはどのような役割を発揮できるか、会場のみならずオンライン参加の方も体験を通じた対話が進められました。
また、音をからだで感じるためのユーザーインターフェース「Ontenna(オンテナ)」の開発者である本多さんは、デンマークからオンラインで登場。Ontennaは、ろう者と健聴者がともに楽しむことができるよう、振動と光で音の特徴をからだで感じることができます。そこで、ステージ及び会場の参加者の皆さんにOntennaが配られ、実際にOntennaを通じてどのように感じられるか、AMEDの三島理事長含めた登壇者全員による「かえるの歌」の即興演奏に合わせ、会場で参加した皆さんがOntennaの光と振動を体感し、会場は大盛り上がりとなりました。
演奏体験の後、ものづくりの発想や理念などの対話が行われ、「このデバイスは聴覚補助ではなく、聴覚拡張」という本多さんの考えに、桜井さんからはものづくりにおける考え方の優先順位についてご自身の経験をお話しいただきました。また、AMED三島理事長から、少しでも人のためになるものづくりを、という話の後、「ただ材料をこねたりするだけでも、ものづくりは楽しい」というコメントに、一同共感の笑顔となりました。
イベントの最後は、課題解決のアイディアを考察する「Street Medical School」の活動について西井さんから紹介ののち、活動に参加している方々からオンライン参加の方々向けに実際にアイディアのプレゼンを実施。
また、オープンダイアローグ1に登場した谷島さんが実施する参加型デジタルアート「しあわせクラウド ~Well-beingを可視化する~」も会場内に設置されており、イベント参加者の「しあわせ」を集めて可視化してモニターに表示するという試みが行われました。
盛りだくさんなイベントの最後は「クロージングセッション」として、PMラボ ポジティブ・インテンション代表の今野さんが、会場やオンライン参加者の感想などを聞き、また、主催であるAMEDの担当者・勝井さんからは本イベントへの思いなど、医療における社会共創の取り組みの大切さをお話しさせてもらいました。
最後に、イベントへ協力いただいた科学技術振興機構(JST)の塩崎理事から「先端研究が社会とともに進んでいく重要性を再認識した」旨の閉会挨拶をいただき、イベントは楽しく盛り上がりつつも、登壇者と参加者の双方向でのやり取りも充実した、非常に気づきの多い1日となりました。
本イベントにより、社会と共に創る明日の医療について参加者のみなさんと議論が深められました。AMEDはこれからも、医学研究・臨床試験における患者・市民参画(PPI:Patient and Public Involvement)など社会共創の取組を推進していきます。
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