【イベント☆レポート】AIが支える新しい医療や未来の情報コミュニケーションについて語り合った「第2回AMED社会共創EXPO」
AMED(エーメド)は医療研究開発の推進において、社会の真のニーズを満たす成果を一刻も早く実用化するために、社会との対話や協働を促進しています。
その一環として、2023年12月9日に第2回「AMED社会共創EXPO」を開催しました。
2023年2月に開催された第1回(noteはこちら)に引き続き、今回もさまざまな立場で医療に関わる方々が実行会議メンバーとして集まり、どのようなイベントにしていくか、テーマはどうするか、数か月にわたり議論しました。
実行会議が決めた今回のテーマは、「AIが支える新しい医療~より良いコミュニケーションのために~」です。
当日は、実行会議メンバーの他に、高校生2名を含む9名のパネリスト、議論をその場で絵に起こしていくグラフィックレコーダー、そして“世界一セラピー効果があるロボット”「パロ」3体が集まり、参加者の皆さんと対話を行いました。
(会場で48名、オンラインで114名の方にご参加いただきました!)
また、今回は、ダイアローグの内容をリアルタイムで絵と文字でまとめていくグラフィックレコーディングも行いました。グラフィックレコーダーの吉川観奈さんが、対話の内容を美しくわかりやすくまとめていく様子に、会場は大盛り上がりでした。
どのような作品が完成したか、後ほどお見せしますので、お楽しみに!
■「パロ」開発者との対話
イベントの冒頭では、開会前から大人気で注目を集めていたアザラシ型ロボット「パロ」について、開発者の柴田崇徳さん(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)からご説明いただきました。
パロは世界各国で活躍しており、その数は8,000体にも上ります。一部の国では医療機器として使用されており、保険償還されるケースもあるとのことです。また、戦争によるウクライナ避難民の心のケアのためにもパロが寄贈されています。その他にも、今後は火星・月探査ミッションのクルーとともにパロが宇宙に行き、クルーのメンタルケアに寄与できるようになることを目標に、研究を進めているとのことでした。
パロを抱っこしていた三島理事長がパロの動きが様々であることに驚くと、柴田さんからは、パロには様々なセンサーとモーターがついており、それを制御するためにAIを使用しているとのご説明がありました。名前をつければそれを覚えて反応するようになり、撫でられ方などを学習して、飼い主の好みの性格に変化していくとのことです。
パロ2体は壇上でオープンダイアローグに参加し、1体は会場の後方のふれあいコーナーで会場の皆さんとふれあいました。会場では、パロの鳴き声が可愛らしく響き、自由気ままに動く姿に癒される方がたくさん!そのセラピー効果を遺憾なく発揮してくれました。
■オープンダイアローグ1
AIは私たちの医療を変えるのか? ~AIと共創する未来のカタチ~
オープンダイアローグ1では、「AIは私たちの医療を変えるのか? ~AIと共創する未来のカタチ~」をテーマに、パネリストからのプレゼンテーション、会場へのアンケート、グループディスカッション等が行われました。
島村さんからは、生体内のネットワークの仕組みや、どの部分に異常があるのかを、データサイエンスやAIを活用して解明するというご自身の研究についてご発表いただきました。プレゼンの最後には、「AIと人間の医師が協力し合う未来に関してどのように感じますか?」という質問に対して、参加者が回答する時間が設けられました。「興味深いと感じる」人が7割近く、「希望に満ちている」が3割程度となりました。
栁澤さんからは、脳とAIの融合として、ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)(※)という技術の使用例についてご発表いただきました。「脳とAIを融合して、失った脳の機能を補ったり、新しい機能を得たり、脳の活動を自動で調整できるかもしれません。AIと融合した脳は、今とは少し違う脳かもしれません。脳とAIを融合する技術に対して、期待と不安のどちらが強いですか?」と会場に投げかけると、「期待の方が強い」との回答が7割弱、「不安の方が強い」との回答が3割強となりました。
※ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI):脳の信号を技術で計測することで脳の情報を読み取り、脳と体外の機械との仲介を行う技術。主に身体が不自由な患者の動きや意思伝達のサポートなどに使われる。
鈴木さんからは科学技術振興機構(JST)で栁澤さんらと取り組んできた、脳AI融合プロジェクトにおける倫理的課題の考察についてご発表いただきました。プレゼンの最後には、「ゲノム解読やAIによるゲノム情報の分析によって、自分の能力や健康に関して正確な予測が可能になったとしたら、わかることをすべて知りたいだろうか?」という質問が会場に向けて投げかけられました。「すべて知りたい」と回答した人が半分以上を占めているという結果に、鈴木さんご自身は驚かれている様子でした。高校生の和田さんからは、進路選択や自己決定などに役立つので個人的には「知りたい」一方で、社会から自分の将来を決定されてしまうという恐れもあるので、知らない方が良い一面もあると思うとのコメントが出ました。
会場では、参加者同士でのグループディスカッションの時間も設けられました。あるグループからは、AIが発達しても、病院での診察はAIのみではなく医師とAIのハイブリッドが望ましいとの意見があり、医師の役割としては、生きた人間を前にしたコミュニケーションをとることを期待するとのことでした。
最後に、ファシリテーターの小村さんからパネリストに向けて、「幸せになるとは?」「ウェルビーイングとはどういうことか?」との問いが出されました。和田さんの、「他の人が幸せだと思うことが幸せだと思う」という意見には、一同から深い共感の声が上がりました。パネリストから出た様々な意見は、グラフィックレコーディングにまとめられています。
最後に栁澤さんが、「AIがあることによって、医療をさらに助けてくれて個人の希望をもっと叶えられるようになることを期待している」と述べられて、このダイアローグの締めくくりとなりました。
■オープンダイアローグ2
どうなる!?未来の情報コミュニケーション
続くオープンダイアローグ2のテーマは、「どうなる!?未来の情報コミュニケーション」です。
まずアイスブレイクとして、参加者の方々に「病気に効くことを期待してサプリメントや健康食品を使っているか?」というアンケートを行うと、3割弱の人が使っているとの結果になりました。循環器内科医の福田さんは、患者本人が過ごしやすいのであれば、治療に影響を及ぼさないことを確認した上で、サプリメント等の服用は妨げていないとご自身の診療経験を述べられました。
パネリストの方々にスライドを使いながら自己紹介をしていただいた後、次のテーマについてパネリスト同士での対話が行われました。
井上さん、本田さんからは、フィルターバブルやエコーチェンバーと言われる、一度検索したものに関連した情報ばかりが繰り返し出てきてしまったり、自分の興味のある情報以外が出てこなくなってしまったりする状態により、情報が深く狭くなっていることが影響しているのではとの意見が出て、AIの発達により今後重要な課題となることが浮き彫りとなりました。藤井さん、吉川(祐一)さんは、ご自身の患者経験から、患者会や専門医による医療講演会で正しい情報を集めるようにしているとのお話がありました。
本田さんからは、色々な情報があふれる中で、それを全て鵜呑みにしないことが最も効率的ではないかとのご意見が出ました。井上さんからは、情報発信を行う側の視点で、効率的に必要な情報を発信するために医療系学会などの他の組織との共創・コラボレーションを重視しているとのお話がありました。
藤井さんはご自身の治療経験から、患者と医療者で治療の感覚を統一することが大切ではないかと語られました。患者側が自分自身の状態を正確に理解し、どのタイミングでどのような治療であればできる、ということをしっかりと医療者に伝え、コミュニケーションをとりながら治療を決めることが重要だとのコメントに、パネリスト一同、深く共感していました。
藤井さんのお話を受け、福田さんからは自分はどう生きていきたいか、何を人生で大事にしていきたいか、といった個人の価値観を含めた治療方針の策定が大切であるとのお話がありました。そのために、患者と医療者の人間同士としての信頼関係の構築、患者が自分の症状を正直に説明すること、医療者が正確な医療情報を提供すること、が必要であるとお話されていました。
吉川(祐一)さんからは、医療者に「生活者としての患者」を理解してもらいながら診療をしてもらいたいとの声が上がりました。ファシリテーターの桜井さんから「患者の趣味を知らない人は医者ではない」という言葉が出ると、パネリスト・参加者一同共感の声が上がりました。
本田さんからは、「自分の専門家は自分、治療するために生きているわけではない」ということを、患者自身がしっかりと考え、自分が大切にしたいことを理解することが未来の医療でも重要ではないかとのお話がありました。
最後に、情報の在り方が変化していく時代において、誰一人取り残さないために社会共創を一層推進していくことが必要であるとファシリテーターの谷島さんが述べ、ダイアローグが締めくくられました。
■クロージングセッション
クロージングセッションでは、オープンダイアローグ1、2について、グラフィックレコーディングの作品を見ながらイベントの振り返りを行いました。
セッションの最後には、吉川観奈さんに今回のイベントの集大成となる絵を一枚描いていただきました。
その絵が、こちら。
イベント全体としてAIと人の関係性についてのお話が多く出ていたことから、「懸け橋」というキーワードを思い浮かべてこの絵を描いてくださったとのことです。
AIと人を結ぶ懸け橋の上に、倫理、情報(ニュースなど)、そしてパロ(AIを利用したロボット)が描かれています。AIと医療が今後良いかたちで手を繋いで進んでいけば良い、そんなイメージが込められた一枚です。
最後に、イベントへご協力いただいたJSTの平尾考憲さんから、閉会挨拶をいただきました。「今日一日で『効率的』という言葉がたくさん出たが、効率と対局にあるようなパロを愛でる。人間は面白いなと感じた」と述べられ、AIが支える新しい医療について、様々な対話がなされた1日が締めくくられました。
2024年度も社会共創EXPOの開催を考えております。
次回も多くの方々にお越しいただけるように準備しておりますので、どうぞお楽しみに!
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